■太白胡麻油(竹本油脂)
太白胡麻油は、「香りを足す油」ではなく、パンの完成度を底上げするための油脂として使われた。
焼成後も重さを残さず、生地の水分保持と口溶けを助ける。
バターや他の植物油では生まれにくい 「軽さ」と「食べ続けられる感覚」を成立させるための選択だった。
ナッツやドライ果実など具材の風味を邪魔せず、 主役はあくまでパンそのもの。
毎日食べられること、年齢や国を越えて受け入れられること。
その前提を崩さないために、 太白胡麻油は“表に出ない重要な役割”を担っている。
太白胡麻油は、特別な素材として構えることなく、中国のベーカリー現場でも無理なく使い続けられる“設計型素材”として
受け取られた。
■再仕込み醤油(垣崎醤油店)
再仕込み醤油は、単なる塩の代替ではなく、味の奥行きを設計するための調味素材として使われた。
一般的な塩味付けでは得られない、色・香り・旨味の重なりが、焼成後のパンに自然な深みと余韻を与える。
味を主張しすぎることなく、それでいて輪郭を曖昧にしない。
再仕込みという製法が生む、穏やかで複雑な旨味は、パンの中で“調味”ではなく“構成要素”として機能した。
一口目よりも、二口目。
食べ進めるほどに美味しさが立ち上がる設計において、再仕込み醤油は欠かせない役割を担っている。
再仕込み醤油は、特別な調味料として扱うことなく、中国のベーカリー現場でもパンの味を組み立てるための素材として
受け取られた。
イベントでは垣崎醤油店特製の醤油ラーメンもふるまわれた。
■発酵素材(塩糀・甘酒)
この講習で示されたのは、味を足して完成させるパンではなく、発酵そのものを主役に据えたパン設計だった。
甘酒は、砂糖の代替ではない。
パンの酵母にとっての“栄養”として使われ、発酵の過程そのものを支える役割を担っている。
その結果、生地の中で糖が自然に生まれ、焼成後も角の立たない、奥行きのある甘みが残る。
塩糀も同様に、味を決めるためではなく、発酵がスムーズに進む環境を整える存在として機能する。
このパンは、調味で完成させるのではなく、発酵によって味が育ちきるところまで待つパン。
だからこそ、冷凍後・再焼成後でも味の破綻がなく、「毎日食べられる美味しさ」が成立している。